情シス担当者も知らない。
AWSやAzureにExcel、WordなどのOfficeの持ち込み。
これってライセンス違反だったの?
今回は、クラウドに社内のWindowsシステムを移行する際に、
ぜひ注意をしておきたいMicrosoftライセンスについてお答えしていきます。
クラウドIaaSを利用したWindowsシステムの導入が増加傾向
近年、AWSやAzureを代表とするクラウド事業者のIaaS(*1)移行、または導入予定をしている中小企業が増えています。ノークリサーチ社の2020年10月の調査結果(*2)によると、過去3年以内にオンプレミスサーバの新規購入が13%に対して、クラウドサーバの新規採用は16.3%とオンプレよりもクラウドサーバの新規採用が増え、今後3年以内の予定でもオンプレミスのサーバの新規購入予定が6.4%に対して、クラウドサーバの新規採用予定は12.4%との調査結果が報告されています。
*1 IaaS(Infrastructure as a Service)とは、クラウド事業者からOSの基盤までのリソースを利用する仕組みで、そこに必要なWindowsやLinux等のOS以上を組み込むことができるサービスです。
*2 引用元:ノークリサーチ社「2020年 中堅・中小サーバ環境におけるオンプレミス/クラウド選択と導入経緯の関係」より
増加している背景には、OSライフサイクルによるハードウェアの買い替えが不要であること、ハードウェア管理の手間が省けることなどが挙げられますが、同様にAWS EC2やAzure VMに対する信頼性、情シス担当者の理解、エンジニアスキルの向上がそれを押し上げているようにも思えます。
特に、2023年10月のWindows Server 2012/2012R2のサポート終了を念頭に、情シス部門ではいち早くWindowsシステムをオンプレからクラウドサーバへとマイグレーションする計画が増えているとお聞きします。
Windowsシステムのマイグレーション事例
それでは、具体的にクラウドIaaSにマイグレーションされるWindowsシステムの例をいくつか挙げてみましょう。
- SQL Serverを必要とする会計・給与・販売管理系の業務パッケージの移行
- 社員のデスクトップ環境をAWS EC2やAzure VMで構成するVDI*3(仮想デスクトップ)
- メールアプリであるExchange Serverの移行
- 資産管理、稼働監視、セキュリティ製品が稼働するWindowsシステム
- Active Directoryで構成されるWindowsファイルサーバ
などが挙げられます。
*3 VDI(仮想デスクトップ)をDaaSとして提供している、AWSなら「WorkSpaces」、Azureなら「Azure Virtual Desktop」(AVD*旧称:Windows Virtual Desktop)、またはMicrosoft365アプリやサブスクリプションの情報は含みませんのでご了承ください。
さて、ここからが本題となりますが、上記のようにWindowシステムをクラウドサーバに構築する場合、Microsoftのライセンスには注意が必要ということです。
ちょっと待って!!Officeのインストール
MicrosoftのライセンスでもWindows ServerやSQLなどは、クラウドサーバの契約時に申し込むことができるのですが、Excel、WordなどのOfficeライセンスの利用には要注意です。「Office永続ライセンス(Openライセンス等)やMicrosoft365のサブスクリプションは持ち込みができない!!」ということです。
具体的にお客様からのよくあるご質問では、「自社でAWS EC2 for Windowsを契約して、サーバにOfficeをインストールしたい」というケースでは、MicrosoftのライセンスではOfficeライセンスを利用する場合、SPLA(略:Microsoft Service Provider License Agreement)事業者が提供するOfficeライセンスを使用しなければならないということが社内の情シス担当者もベンダーも意外と知られていないようです。
では、このSPLAはどこに行けば契約ができるのでしょうか?
SPLAを提供できる事業者は主に、Microsoftが認定したサービスプロバイダー事業者やレンタルサーバ事業者となります。これらの事業者は、事業者のサービスの一部としてSPLAを提供している事業者です。事業者はお客様へ提供するクラウドサーバ上のMicrosoftライセンスの管理を全て行わなければなりません。
前述に挙げた「自社で契約したクラウドサーバにOfficeを持ち込みたい」というケースでは、Microsoftのクラウドサーバ(IaaS)ではNGということになり、結論を申し上げると現時点ではサービスプロバイダー事業者やレンタルサーバ事業者のサービスの一部として利用する方法しかありません。
Windowsシステムのマイグレーションや移行が進む中、自社が検討するWindowsシステムが、これらサービスプロバイダー事業者やレンタルサーバ事業者がサービスとして提供しているかを是非ご確認ください。
今後、クラウドファースト全盛期に向けて、Microsoftのライセンスの考え方にも大きな変化が見られそうな予感もあります。直近で言えば、Officeオープンライセンスの2021年12月で終了や、Microsoftが提供するAzure Virtual Desktop環境でのMicrosoft365連携など今後システム管理者の方々をはじめ、ベンダーもこれらのMicrosoftのクラウドライセンスの正確な理解と、そのライセンス形態の変化に注視をしていく必要があります。
記事の最後に、当社はWindowsシステムをクラウドで保守するサービスプロバイダー事業者です。ぜひ、Windowsシステムのクラウド移行をご検討のお客様は当社へご相談頂ければ幸いです。